染色をまなぶ日々−①

2022年の秋、染色を学び始めた。

それまで染色に興味を持ったことなど一度もなかった。

周囲の人は、また突然なんか始めたでこの人、と思ったに違いない。

なぜ、染色を学び始めたのか。

それは、ある日コーヒーで染色ができると知り興味を持ったことから始まる。

インターネットで見かじった拙い知識でTシャツをコーヒーで染めてみたところ、想定外のことが2つ起こった。


①2本の角材で生地を挟んで、半分だけコーヒー色に染めようとした。
 が、何度やっても、綺麗にグラデーションに染まってしまう。
②何故か一部分だけ茶色ではなくターコイズのような水色に染まる。
 どうも、生地を挟む角材を留めた針金があたっていた部分が水色になっている

半分だけコーヒー色にするのを諦め、グラデーションのコーヒー染Tシャツ第一号が完成した。

が、何度か洗濯すると汚く色落ちしてしまった。

この当時の私は、なぜか絵を作品として売ることに違和感がありドローイングを描く感覚を
プロダクトにして商品として販売できないか、と頭の片隅で考えていた。
で、これだ、と思ったわけである、ドローイングを染色にしよう、ドローイング染色のプロダクトを作ろうと。

何事も達成するには時間がかかるわけで、月に1日でもいいから強制的に学ぶ時間を作ろう、いつかがっつり時間を取れる時が来るまでに自由に表現できる技術を体得しようと決めた。大阪阿倍野にある「草木染工房ひとつ屋」さんに通いはじめ、気がつけば2年以上3年近くたっていた。根気強いなぁと思われるかもしれないが、月に数時間でも「習慣」にすることで時間が思ってもみなかった遠くの場所へ連れて行ってくれることってあるし、時間がかかることを達成するには有効な手だと思っている。


ちなみにワークショップ1日目の講義にして、上記のコーヒー染で起きた2つの想定外が何故起こったのか判明した。

そして、今回、化学染料で手染めしたドローイングハンカチを販売させてもらえるチャンスが来た、感謝しかない。

月に1〜2日の実習をたった3年でここまで来れた、やっぱり知らぬ間に時間が運んできてくれていたのだ。

とはいえ、自分の世界はまだまだ表現しきれておらず、まだまだ、まだまだ、先は長いのである。

染色をまなぶ日々は、つづく。