前浜掩体群(まえはまえんたいぐん)

2年前の夏、移住した友人と会うため高知県へ行った際に空港で時間を潰す必要があった。空港近くに前浜掩体群という太平洋戦争の遺構があるとのことで行ってみることにした。

空港から徒歩で行ける距離なのだろうけど地図を見ても道が分からない。観光センターの女性に徒歩での行き方を尋ねると、長いトンネルを通らないといけないのでちょっと怖いかもしれないけど以前通勤で毎日歩いてたので大丈夫ですよ、と親切に教えてくださった。

、、、が。用水路と並走しているかのようなトンネルの入口はジメジメと薄暗く、もちろん入り口から出口なんて、とうてい見えない。トンネルには人影もない。目に見えない何者かがいそうな雰囲気だしヤバい人がいてサされても誰も目撃してくれないに違いない。引き返そうか躊躇したが決心して歩きはじめた。落書きの壁に目を背け滴る水音に耳を塞ぎ、足元だけを見て一歩、二歩、と歩数を数えることだけに神経集中させて心を石にし歩いた。やっと辿り着いた出口、のどかな田舎の風景に安堵する。

掩体壕は大小さまざまなものが7基。掩体壕とは敵の空撃から軍用機を守るための飛行機の格納庫。現在は戦争の遺構として保存され、公園として残されたり地元の方の農機具置き場になっているものもあった。中に入って見上げると、木材で型枠を作ってコンクリートを流し込まれたのか、木枠の跡が残っていた。太平洋戦争当時、どんな思いで作られたのか思いを馳せた。

足速に、再びトンネルを抜け空港に戻りビールを飲んでホッと一息ついたとき、ようやくあることに気づいた。

空港の近くに掩体群。そう、高知龍馬空港は、もともと海軍基地だったのだ。身震い

そして、あの長く果てしないトンネルは空港の下を通るトンネル、滑走路を横切ってるそうだ、そりゃ長いはずだ。あのトンネルは、いつからあったんだろうトンネルの歴史が気になった。近くにもう一本ある車道のトンネルではなく、地元では落書きトンネルと言われているらしいそのトンネル、調べてみたけど情報が出てこなかった。